学歴と実務経験(01)or実務経験10年以上(02)で専任技術者となることができます

専任の技術者がいること(資格・実務経験等を有する技術者の配置)は、建設業許可の重要な要件の一つです。

 

専任の技術者とは、許可を受けようとする建設業の業種について定められた「資格・実務経験等を有する技術者」であって、さらに、建設業の営業所ごとに、その営業所に常勤して職務に従事する技術者のことをいいます。

 

専任の技術者は、同一の営業所内において、各業種につき、それぞれ1名ずつ担当することとなり、複数の専任の技術者が同じ業種を担当することはできません。

 

また、二つ以上の業種について許可を受ける場合には、一つの業種につき1人の専任の技術者を求めているのではなく、有する資格に応じて、複数の業種を一人の専任の技術者が担当することが可能です。

 

「資格を有する技術者」とは、建設業法による技術検定(施工技士・施工管理技士)、建築士法による建築士、技術士法による技術士、電気工事士法による電気工事士、電気事業法による電気主任技術者、電気通信事業法による電気通信主任技術者、水道法による給水装置工事主任技術者、消防法による消防設備士、職業能力開発促進法による技能士、などの資格を有する技術者のことをいいます。別のブログ記事にてご紹介します。

 

実務経験等を有する技術者の「実務経験」とは、

許可を受けようとする業種で、建設工事の施工に関する技術上のすべての職務経験をいいます。建設工事の発注にあたって、設計技術者として設計に従事したり、現場監督技術者として監督に従事した経験、土工及びその見習いに従事した経験等も含まれます。

しかし、ただ単に建設工事の雑務のみの経験については含まれません。

 

「資格・実務経験等を有する技術者」のうちの一つを有する技術者を、建設業の営業所ごとに常勤の専任の技術者として一人、必ず配置しなければ許可を受けることができません。

 

なお、一般建設業と特定建設業とでは、技術者となれる資格・実務経験等の内容が異なります。


一般建設業の専任の技術者となれる「実務経験等を有する技術者」とは


ここでは、「実務経験等を有する技術者」についてご紹介します。

 

実務経験等を有する技術者には、次の2種類があります。

 

1.指定学科を卒業後、一定期間以上の実務経験がある技術者(01)

 

・高等学校または専門学校(専修学校の専門課程)の指定学科を卒業した後

+許可を受けようとする工事業に関し5年以上実務の経験を有する者

 

・大学、短期大学または高等専門学校の指定学科を卒業した後

+許可を受けようとする工事業に関し3年以上実務の経験を有する者

 

・専門学校(専修学校の専門課程)の指定学科を卒業した後

+許可を受けようとする工事業に関し3年以上実務の経験を有する者で、専門士または高度専門士と称する者

 

※各工事業の指定学科は、次のとおりです。

 

土木工事業、舗装工事業

→土木工学、都市工学、衛生工学、交通工学に関する学科

 

建築工事業、大工工事業、ガラス工事業、内装仕上工事業

→建築学、都市工学に関する学科

 

左官工事業、とび・土工工事業、石工事業、屋根工事業、タイル・れんが・ブロック工事業、塗装工事業、防水工事業、解体工事業

→土木工学、建築学に関する学科

 

電気工事業、電気通信工事業

→電気工学、電気通信工学に関する学科

 

管工事業、水道施設工事業、清掃施設工事業

→土木工学、建築学、機械工学、都市工学、衛生工学に関する学科

 

鋼構造物工事業、鉄筋工事業、熱絶縁工事業

→土木工学、建築学、機械工学に関する学科

 

しゅんせつ工事業

→土木工学、機械工学に関する学科

 

板金工事業、建具工事業

→建築学、機械工学に関する学科

 

機械器具設置工事業、消防施設工事業

→建築学、機械工学、電気工学に関する学科

 

造園工事業

→土木工学、建築学、都市工学、林学に関する学科

 

さく井工事業

→土木工学、鉱山学、機械工学、衛生工学に関する学科

 

(土木工学には農業土木、鉱山土木、森林土木、砂防、治山、緑地、造園に関する学科を含みます。)

 

いずれかの指定学科卒業の学歴と許可を受けようとする工事業に関し指定年数以上の実務の経験があれば、一般建設業での実務の経験を有する工事業の専任の技術者や工事現場に配置する技術者になることができます。

 

2.10年以上の実務経験を有する者(02)

 

・指定学科を卒業していないが、最終学校卒業後

+許可を受けようとする工事業に関し10年以上実務の経験を有する者

 

許可を受けようとする工事業に関し10年以上の実務の経験があれば、一般建設業での実務の経験を有する工事業の専任の技術者や工事現場に配置する技術者になることができます。

 

二つ以上の業種について実務の経験を要する場合、それぞれ異なる期間であることが必要です。経験期間が重複しているものは二重に計算しないことになっています。

 

二つ以上の業種を10年以上の実務経験のみで専任の技術者になるには、重複しない10年ごとの実務の経験、合計20年以上の期間が必要ということになります。


「実務経験等を有する技術者」であることを確認(証明)する書類が必要


・工事実績を確認(証明)する書類

 

証明者は、法定書類である「実務経験証明書」に職名・実務経験の内容(工事の実績)・実務経験年数(それぞれの工期)、証明者等を記載して証明します。

 

さらに、確認(証明)書類として、実務経験証明書に記載した実務経験の内容(工事の実績)すべての工事について、工事の契約書・注文書・請求書・内訳書などの書類が必要となります。

 

これは、申請する業種の工事業についての工期・工事名・工事内容・請負金額が確認できる書類であることが必要です。

 

確認できた工事と次の工事との期間が12か月以上空かなければ連続した期間、経験があることとします。

 

証明者は、実務経験を有する技術者の前勤務先である場合(他社証明)、現在の勤務先である場合(自社証明)もあります。

 

証明者は、証明する会社・個人事業主で、確認(証明)書類の提出ができるのであれば、建設業の許可を受けていない者でも構いません。

 

つまり、軽微な建設工事のみを請け負う業者であっても構わないということです。

 

軽微な建設工事とは、次のことをいいます。

 

・建築工事業(建築一式工事):

①工事1件の請負代金の額が消費税込みで1500万円未満の工事

②延べ面積が150㎡未満の木造住宅工事工事

・建築工事業以外の工事業:工事1件の請負代金の額が消費税込みで500万円未満の工事

 

軽微な建設工事のみを請け負うことを営業する者は、建設業の許可を受けなくても建設業を営むことができる、ことになっています。

 

・経験期間の確認(証明)書類

 

実務経験に記載された経験期間の在籍が確認できる書類として、次のいずれかの書類が必要です。

 

・厚生年金の被保険者記録照会回答票(年金事務所発行)

・雇用保険被保険者証(許可申請書提出時点において継続して雇用されている場合)

・雇用保険被保険者離職票(許可申請書提出時点において離職している場合)

・証明者が個人事業主の場合は、その個人事業主の所得税の確定申告書のうち、第一表と専従者給与欄か給与支払者欄に内訳・氏名の記載がある書類(税務署の受付印・電子申告の場合は税務署の受信通知、第一表に税務署の受付印はないが第二表に税理士等の記名捺印がある場合は第二表も必要)

・証明者の印鑑証明書(3か月以内のもの)

 

・指定学科卒業の確認(証明)書類

 

「指定学科を卒業後、一定期間以上の実務経験がある技術者」は、指定学科を卒業した学校等の卒業証明書が必要です。

 

※経験年数の数え方

 

細かい点ですが、経験年数の計算の仕方です。たとえば、平成26年8月~令和2年1月の経験年数の場合、単純に数えますと5年6月ですが、片落としをして5年5月として満5年5月の経験年数として数えます。

 

この点を考慮しますと、単純に数えて5年0月の時は満4年11月となり、たとえば、5年以上の要件には達しないということになります。単純に数えて5年1月なければ満5年0月(5年以上)にはなりませんのでご注意下さい。


確認(証明)書類が揃えられるかがポイントです。


実務経験等を有する技術者で申請する場合は、証明する会社での「実務経験証明書」とその経験を確認(証明)する書類が揃わなければ許可を受けることができません。

 

「専任の技術者」を実務経験で許可を受けることができるかは、確認(証明)書類が揃えられるかがポイントとなるのです。

 

確認(証明)書類は、許可をする都道府県・地方整備局により異なります。事前に確認して下さい。

 

私が常日頃、依頼を受けて、申請書の作成をしたり、申請代理をしています、大阪府知事許可の建設業許可の担当課であります大阪府建築振興課発行の「建設業許可申請の手引き」に基づいて記載しています。

 

なお、どのような確認書類が必要なのかは、許可をするそれぞれの都道府県や国土交通大臣の建設業許可を行うそれぞれの地方整備局により異なっています。大阪府以外の役所に申請する場合は、お近くの行政書士か、担当の役所に事前に確認していただくことをおすすめします。

 

たとえば、大阪府に本店がある国土交通大臣許可の事務を担当しています近畿地方整備局が求める確認(証明)書類や法定書類の記載方法は、大阪府と異なっています。